入学当初は歌うのが好きで合唱部に入ったが、真面目に練習をしない同輩とは話も合わないし、先輩に可愛がられるタイプでもなかったので、すぐに居心地が悪くなり辞めてしまった。よって今は帰宅部だ。
時間なら有り余るほどあるが、有効に使ってもいない。
なんだか馬鹿みたいな人物像だな、と葵は思った。それでもこんな私にも好きな人くらいいる。自分でも驚いてしまうが。
「葵、また考え事?」
「小夜。ううん、別に。どうしたの」
問い返すと、友人の及川小夜は待っていたとばかりに口角を上げた。
「聞いて驚け、あんたの想い人が合唱コン係に立候補した!」
「…佐島が?」
面倒くさそうなことはしないタイプだと思ってた、と呟く葵を小夜は笑みを浮かべて見ていた。
「小夜、いい加減気持ち悪い」
「ごめん」
即座に軽く謝ったが、友人の緩んだ頬はしばらく引き締まる事が無さそうだった。
時間なら有り余るほどあるが、有効に使ってもいない。
なんだか馬鹿みたいな人物像だな、と葵は思った。それでもこんな私にも好きな人くらいいる。自分でも驚いてしまうが。
「葵、また考え事?」
「小夜。ううん、別に。どうしたの」
問い返すと、友人の及川小夜は待っていたとばかりに口角を上げた。
「聞いて驚け、あんたの想い人が合唱コン係に立候補した!」
「…佐島が?」
面倒くさそうなことはしないタイプだと思ってた、と呟く葵を小夜は笑みを浮かべて見ていた。
「小夜、いい加減気持ち悪い」
「ごめん」
即座に軽く謝ったが、友人の緩んだ頬はしばらく引き締まる事が無さそうだった。