その日以降、EXEXの株価は暴落した。

業務提携していた大手企業のサニーも契約を破棄すると通達してきたらしい。
他の取引先との契約や新規の依頼も先行き不透明。
おまけに情報漏洩のことがマスコミに伝わり、情報を扱う企業なのにと事を荒立てた。我が社の開発したゲームやシステムは個人情報のセキュリティーが脆弱なのではないかと問題にしたり、しまいには社長のイケメンぶりや過去にお付き合いした女優やモデルの話にまで飛び火し、週刊誌やお昼の情報番組を賑わせる騒ぎになった。

会社の信用をがた落ちさせた責任を問われ、篤人さんは社長の辞任を要求されるだろうとコメンテーターが言っていた。


篤人さんは、あの日からマンションに帰っていない。



どうしてあの時、何も言ってくれなかったのだろう。
私のことを、本当に疑っているの?
信用されてないの?

篤人さんは、星野くんに告白された私が抱きしめられてる所を見ている。

まさか私が好きなのは篤人さんだって言った言葉が、嘘だと思われてる?

会議室でのあの冷たい声を思い出すと、電話はできなかった。
LINEで何度も「私はあんなことしていない。信じてほしい」と伝えたけど、返事はなく電話もない。

このまま居てもいいのか分からない篤人さんの部屋で、どうやったら無実を証明できるのだろうと必死に考えて過ごした。





そんな日が10日ほど続いて。

業務提携を解消する見通しだったサニーとEXEXが関係を継続することになったというニュースが流れた翌日、秘書室長から出社するよう連絡があった。