「今、建設が進んでいる商業施設が完成すれば、必ず成功する。完成まで待てとは言わん。大手スーパーとの契約が終われば資金繰りにも目途がつくんだ」

「それはそちらの事情でしょう。我が社としては規定通りにお支払い頂ければ商業施設がどうなろうとかまいません。どうしても無理だとおっしゃるなら法的手段に出させていただきます」


社長は冷たく突き放して、払うものは払えの一点張り。まあそりゃそうだよね。一方的な理由で踏み倒してもいいなんて通用しないでしょ。


「だ、だめだ…やめてくれ。信用が…我が社の信用が…」

「信用は結果で勝ち取れ。あなたが以前、私にそう教えてくれたんですよ」


社長はそう言うと、席を立った。

「ま、まってくれ!」

これ以上話すことはないと態度で示された渡社長は、慌てたように立ち上がってテーブルを回ってくると社長に縋った。


「わかった。払う。すぐにシステム管理料を払う。その代わりお願いがある。君の、花京院家の力を貸してくれないか」

「は?なぜですか」

「Kakyo-in系列の建設と量販の協力があれば、上手くいく。そうだ。最初からそうすればよかったんだ。花京院にとってもいい話だろう。この事業を私と君との共同事業にしようじゃないか。どうだ」


どうだって言われても答えようがないでしょ。おじさん正気だろうか。
支払いを踏み倒そうとしたどころか、社長に金を出せって言ってくるとは。
社長も一瞬呆気に取られてたけど、ため息を吐いて渡社長に向き直った。


「渡社長、私はKakyo-inグループとは関係なく」
「…やめ…ろ…ぉ」

社長を遮った声は、地中の中から響いてきたようなおどろおどろしいモノだった。