聖夜に電話が繋がったのは次の日。


聖夜はお父さんと二人で食事に出かけていたらしい。


スマホは車の中に忘れたまま。


「ごめん、そんなに怒るなよ。」


「凄く良いことを思いついたの。」


聖夜のお父さんにお店を手伝ってほしいことを伝えると。


多分無理だと言われた。


聖夜もそれらしいことを言ってみたが、今はこのままでいたいと言った。


聖夜の話によると、お父さんが経営している美容室のすぐ近くに、大きな美容室が出来、お客様をかなり取られ、売上が激減。


お兄さんはお店を改装して、巻き返しを試みてるらしいが。


大型店には敵わないようだ。


お店経営は本当に大変な事も分かる。


私はまだ、コンビニの経営には関わっていない。


父親と兄が全てやってくれてるから。


もう少し自覚しないと駄目だ。


「父さんも美莉に会いたがってるから、今から店に連れて行くよ。」


え、今直ぐ。


化粧してないし、コンビニの制服だし。


ちょっと、待ってよ。


無駄に伸びた長い髪をお団子にしてるだけだし。


慌てても遅く、聖夜が店の前にいた。