「桜が決めるといい」

近藤さんが許可をくれた。

ならば迷うことなく

「では、土方さんのお部屋でお願いします♡」

語尾に♡をつけていう。

途端、部屋が静まり返る。

おや?

よく天使が通るとしーんとなるって聞くけど、もしかして私って天使?

「「「「「えー!!」」」」」

一斉にハモる。

「え?あれ?土方さんの部屋でもいいんですよね?!」

「桜っ!土方さんのとこだけはやめておけっ!」

藤堂さん?

「なんで?土方さんの部屋にはお化けでもいるんですか?」

「よりによって土方さんの部屋を選ぶなんて…」

沖田さんまで?!

「土方さんは私が行くの、ダメですか?」

うるうると眼を潤ませ、上目遣いで土方さんの顔を覗き込む。

これでおちろ!!

「…!」

土方さんの顔が一瞬赤くなり、目の前が暗くなる。

土方さんが私の眼を手で覆ったのだ。

「別に構わねえが…」

「やだ!桜!なんで土方さんなのさっ!」

藤堂さん、どんだけ土方さん嫌なんですか…

「だって私の大好きな土方さんが生きて動いて喋ってるんですよ?一緒にいたいと思うのが普通ですよ!」

フフン!とドヤ顔をする。

「桜…土方さんのこと好きなの?」

沖田さんが哀れなトーンで聞いてきた。

「大好きですよ!!折角この時代に来れたんですから、一緒にいたいです!」

あたりが静寂な空気に包まれる

え?なになに?

不安げに土方さんを見ると、片手で顔を覆い俯いている。

「えっ。ちょっ…皆さんこの空気耐えられないんですが…

「ぶっ!あはははは!!!面白いねキミ。土方さんが好きとか相当なもの好きだよ?

何が面白かったのか沖田さんが笑った。

「おい!もの好きってどういうことだオラァ!普通に俺は女に人気なんだよ!!

土方さん…自分で言っちゃうのね

「ほら、土方さんってこういうことも言っちゃうんだよ? キミそれでも覚めないの?

「総司てめっ

「全くですよ? ていうかむしろ、人気なんだ〜さすが土方さん❤️ って感じです。

「ふーん。じゃあこれも言うよ?土方さんはもらった恋文を実家に送って自慢してるんだ

「やめろ!!

「それがなんだって言うんですか!既に知ってますし、そんなとこも可愛いですよ!!!あ!の!鬼の副長と呼ばれる土方さんが女の人から少し照れながら恋文を受け取ってる所を想像するだけでかわいすぎて悶絶しちゃいます❤️

「おい、桜も総司もやめろ

「沖田さんがなんでそんなこというかわかんないですが、武士になったら竹で矢を作るんだと言ったり、女性問題で薬売りにさせられたり、皆に内緒でかわいい発句を作ってたり、ぜんぶぜーーんぶ大好きですから!!!

「あはははははは!!!!!

「テメェなんでそんなに知ってんだよ!!!

「未来じゃ土方さん好きにとっては常識です❤️

「最悪。十回死ね。

「あいにくですが私はすでに12回程死んでるんでそれは遠慮しときますね♡

「くっ…

土方さんは言い返せなくなったのか言葉に詰まった。

「んあああああ!!!❤️❤️土方さんが言い返せなくなってる!!どうしよう!かわいい!かわいすぎるよォオオオ沖田サーーン!!

沖田さんの腕にしがみついて土方さんを見る。

「かわいい?土方さんが?ほんっと桜ちゃんの趣味わかんない

笑いながら言ってもねぇ。

「とにかく!やっぱお前は俺の部屋には入れねえ!!! 俺がいない間に何しでかすかわかんねえ!

「む!やだなあ何もしないですよ!! ただお布団を抱きしめてああ土方さんの香りいとおかしって言いながら土方さんを愛しく思うだけです!!

「それは何もしないに入んのか?!

「まあまあ二人とも落ち着いて…

近藤さんの声で場が収まると、

「お前は俺以外の部屋に行け

土方さんにそう言われた

ーーーーーーー

「ということでよろしくお願いします藤堂さん

あの後土方さんじゃないなら誰でも良かった私はあみだくじで決まった藤堂さんの部屋に来ていた。

「うん!よろしく!あ、あと俺のことは平助でいいし、敬語も使わなくていいよ!

「え〜でも藤堂さん年上ですよ?

「いいのいいの!桜は可愛いから許す!

「なんですかその理屈ー

「とにかく!これからさん付けと敬語したら口聞かないからね!