7年前……


『裕樹、わしの財布知らないか?』

親父のこの一言から瑠奈との繋がりは始まったんだ……

『は?俺が知ってるわけ無いだろ』

『そうじゃな……』

『財布なくなったの?』

『あぁ、どこを探しても見当たらないんじゃ』


そこから家の中で大捜索が始まった。


ところがいくら探しても出てこなくて……

『仕方ない、諦めるか……』

『カード会社に連絡しなきゃな』

『そうじゃな』

もう見つからないものとして、カード会社にクレジットカードなどのカード類を止めてもらう連絡をして、警察にも一応紛失届を出した。


愛着のある財布だったらしく、数日間落ち込んでいた親父の元に、一本の電話があった。


pipipipipi……
〔はい、藤宮でございます〕
〔◯◯警察署の者ですが……〕
〔警察ですか?〕
〔藤宮直樹さんはいらっしゃいますか?〕
〔はい。おりますが……〕
〔先日紛失届を出されていた財布が見つかりましたので連絡したのですが……〕
〔っっ‼︎ 少しお待ちください〕

『直樹さ〜ん、お電話です』
母さんが最初は対応してたんだ。

『誰からじゃ?』

『警察です。お財布が見つかったみたいですよ』

『ほんとか?』

『ええ。今お電話いただいてます』

母さんの言葉を聞いて、親父は電話に出た。