トオル「……ミユ、ちょっといいか?」



ミユ「へ……?うん」



私達は病室を出て、廊下にある椅子に腰掛けた。



今はもう夜の9時。
面会時間は8時までだから、もう人は看護師さんぐらいしか廊下を通らなかった。



私達は、3人が頼んでくれて特別に今日だけ面会時間を超えても良いことになっていた。





ミユ「どうしたの?」



トオルが私のことを呼び出すなんて珍しい……。



トオル「あのさ、さっき記憶喪失って医師が言っただろ?レイ、ミユのことだけじゃなくて一年前の記憶全部ないみたいなんだ。」




ミユ「へ……?どういうこと?」



トオル「さっき話がかみ合わないところがあったんだ……。
それで試しに色々話してみたんだ。そしたら、一年前の出来事全部忘れてた。」



ミユ「そんなっ……なん、で……」




トオルは話してくれた。私の知らないレイのことを





トオル「俺が思うにはさ、レイ相当ミユのこと愛してるよ。
レイはさ、一年前からほとんどミユの話してた。アイツは俺のせいで人生変わっちまった……って。すげー心配だって、ほっとけねぇって、言ってた。
レイが他人のこと心配なんかするやつじゃなかでたから、俺ら3人でレイの見回りについて行ったんだ。
夜の街を何も問題ないか毎日見回るんだけどレイはミユのこといつも目でおってた。すげぇ心配そうな目しててさ。
それ見てたら何か俺達悲しくなってきて……誰も、悪くねぇのにな……
何でこんなことなったんだろうな……」



レイ……
私のこといっつも守ってくれてたんだね。

変な男に絡まれた時


トモヤくんに襲われそうになった時


そして、車に引かれそうになった時



ミユ「守ってくれてた……!私なんもお礼出来てないよっ……
守られてばっかだ……!」




トオル「多分一年前の記憶全部がスッポリないのって、ミユが中心だったからかな……」


ミユ「へ……?」


トオル「レイは、一年前からミユのことしか考えてない。そんだけ、愛されてるってことだよ。」


そっか……
レイ、ありがとう。




私も愛してる。