紗良は目の前に広がる無残な光景に




ただただ唖然していた。




道に転がる無残な姿の死体




あたたかな食卓を囲んでいたであろう家でさえも




跡形も無く燦々としていた。




そんな彼女にどこからもなく声が聞こえてきた。




「迷える旅人や。お困りかね?」




ふと声のした方を見ると1人の老人がそこにいた。




白髪の長い髪の毛に




左右非対称の瞳




左目はアクアマリン 右目はルビー色




腰は曲がっておらず姿勢も良い為




どことなく品を感じた。




何か他と違う雰囲気がある。




「あたし………どこに行けば良いのか




わからないんです」





そう呟いた矢先、目の前の老人から声が発せられた。




「そうかい、そうかい、何も言わなずとも、」




「わしにはお主のその理由がわかる。」




「え?」




頭の中にクエッションマークが飛び交う中、




老人は言った。




「ここはテオン街というんじゃが、」




「ちょいと離れた所にルーメス町という、




綺麗な街がある。」




「今からわしがそこに転送させてやるから、




そのルーメス町にある魔法学園




ローズマリー魔法学園に行ってみたらどうかな?」





「魔法学園……??」




魔法学園など、私には必要なのであろうか。私は…………




いや、考えても無駄かもしれないー。





何故だろう……




この老人の話を、この老人が言う魔法学園に、




興味を持った自分がいるのだ。




「どうじゃい?話に乗らんかな?」




考え過ぎていたようで、




返事を求める話が耳に入ってきた。





「お願い……します。




そこで私が何か変われるかも知れないからー。」





「良い決断じゃ。




お主の事をわしは生まれた時から知っておる。




予言の子よ。世界を希望に導いてくれー。」



「え?私を……知ってる……??」




どういうことなの、しかも予言の子ってーーー。




「またどこかで会おう。





必ずしもまた会うときが来る。」




ピカッーーー。



「っ……!?」




老人によって唱えられた




転送魔法の光が眩しく光り、




その老人は見えなくなった。




そして後に、この老人の正体を





知る事となるのを知らずにーーー。