『――可愛い。』

「っ……!」


彼の薄い唇から次々と零れてくる甘すぎる言葉達に、ついに顔を赤くしてしまった私をまた抱きしめながら、彼はまたそんなことを言う。


『…ずっと、言いたかった。みのりはいつも可愛すぎるから…目が離せない。』

「そ、そんなことないよ…!」


可愛いなんて、そうそう異性から言われたことがないために免疫がない私は、もっと顔を赤くする。

そんな私を腕の中に閉じ込めながらも彼は、拗ねたような声を出した。


『無自覚なんだ?危ないなぁ…。言っとくけど、浩介と会った時も本当は会わせたくなかったんだからね?』

「えっ?」

『迎えに来たら、みのりってばもっと可愛くなってるから。…つい、嫉妬した。』


『浩介のためにあんなにオシャレしたんだって思ったら、猶更』と、本音を溢した彼の大きな背中に手を廻す。

意外とヤキモチ焼きな彼のために、ちゃんと言っておかないと。

あの時は言う勇気なんてなかったけれど、今なら言えるはずだから。


「違うよ。」