「な、な、な…っ!?」


言葉にならない言葉が込み上げて、あたしは茹でタコ状態になっていた。


「誰かに言おうものなら、この写メ、学校中の掲示板に貼ってやる」


ルン、と語尾に音符が見える気がした。

あたしは再び、言葉なくして口をパクパクさせた。

これが掲示板に貼りだされたら、あたし…、あたし…っ!

ちょっとした居眠りのはずが、気が付けばベランダに閉め出しになっていて。

大スクープを入手したはすが、まさかの警察沙汰の家出騒動。

学年No.1の男の弱みを握ったはずが、今度は逆に弱みを握られて…握られて…!


(これは脅そうとした天罰か……)


彼氏募集歴=実年齢のあたし。

小林知枝里。16歳。


「じゃ、手始めに、まずは傷心中の俺に弁当作ってきてよ。明日から」

「……っ」


どうやら人生最大の厄年が幕を切って落とされてしまった。