その間ずっと想羽くんはさっきみたいに、




優羽に付き合わなくったっていいんだぞ?
光来は光来の幸せ見つけても……。




なんて言ってくるわけだ。




それを何度となく否定して今もこうして優羽の隣に居る。



そりゃあブーツだってくたびれるはずだ……。



「……ありがと、光来」


「えっ?」


「そうやって……俺のこと守ってくれて」



不意に言われたありがとう。



ただ。
死角になってしまった優羽の右側を、わたしは無意識に立つ癖がついてるだけ。



「いいよ……。ありがとうなんて言わなくて」



だって。
柔らかく笑いかける優羽がわたしは大好きで仕方ない。




「わたしが右(ここ)に居るの……当たり前だもん」



だから優羽もありがとうなんて言わずに、わたしが居て当たり前って思って?



わたしはずっと……そう願ってる。



「じゃあさ?」


「うん」


「ずっと居て。そこに」



こう言ってはにかんだ優羽がわたしの目の前でぱっと左手を開いた。



優羽の手のひらに輝くシルバーリングは、



「結婚しよ?」



優羽の唇から零れた言葉と一緒にわたしの薬指に吸い込まれるように入っていく。



「うん。ずっと居るよ」




いつかの聖夜の約束通り。



おじいちゃんおばあちゃんになるまで……ずっと。



-Fin-