「あれ、山崎くん?」




今度は横から声が聞こえてきた。




声のした方を見てみると、そこには浅葱色の羽織を着た、大きな男の人が立っていた。




「沖田さん」




「あ、ごめん。

 もしかして、取り込み中だった?」




「いや、まあ……」




あ……あの羽織り、見たことある。




あれは確か……




すると突然、体中の力が抜け、その場に倒れてしまった。




「え、あれ……」




目の前が歪んでる……




「?!おい、大丈夫か君!!」




あの人が私に駆け寄ってくる。




心配そうに私を覗き込むあの人の顔が、段々とぼやけてくる。




薄れ行く意識の中で、私は羽織の事を思い出した。




そうだ、あれは……




新選組の、羽織り……