長い沈黙が私たちの間に流れた。
長年の友人に告白されてショックを受けるくらいだから、今後のその子との接し方なんかを相談されるのだと思い込んでいたら、私が特に偏見はないと言ったところで自分も同性愛者であることに加えて、なんと私を好きだと言ってきたのだ。
引いた訳ではないのだけれど、同性愛者を第三者目線で見るのと、当事者になるのとでは訳が違う。
時々感じていた殺気に満ちた視線も嫉妬からくるものだったと知った。
私たちが別れる駅まで、もうあまり時間がない。
とにかくなにかを答えなければと、私はもごもごする。
答えを引き延ばすのも、人として嫌いだと勘違いさせるのも酷だと思った私は
「私も菜穂のことは好きだよ。でもそれは友だちとして。菜穂も友だちだと思ってた女の子に告白されたからショックだったんだよね?私も菜穂の気持ちがイヤな訳じゃなくて、友だちだと思ってた菜穂に告白されたから、正直どうしたらいいのかわからない。」
と答えた。
ごめんね、気持ちに応えられなくて。
菜穂の最寄り駅に到着し、私はまたねと声をかけたけれど、返事はなかった。
プシューという扉の音が私たちの関係を裂くなんて知らずに、私はなるべくいつも通り手を振った。