一週間ほど前のこと。


由依から電話があって、内容はダブルデートをしたいというものだった。


詳しく話を聞くと、由依の友達に彼氏が出来たらしく、その友達から、二人きりのデートは緊張するから…と言われて、ダブルデートを提案されたらしい。


気まずそうにお願いする由依に、俺は快諾した。


他ならぬ由依の頼みを、断る理由なんてないからだ。


とは言え、この混み具合…半端ないな。


由依たち、ここまで迷わずに来られるだろうか。


そろそろ着替えて、やって来そうな時間だと思うんだが…。


「瀬ノ内君、彼女が心配?」


ソワソワしていると、後ろから声が飛んできた。


由依の友達の彼氏だ。


同じ桜瀬高校に通っていて、俺たちより一つ年上の先輩らしい。


「……はい。」


「もうすぐ来るよ、きっと。でも、これだけ人手が多いと心配になるよな。チャラそうな男にナンパされてるかも…とか考えちゃうし。」


確かに。


それ、充分に有り得る可能性だ。