雛罌粟は、これまでとあまり変わらない。

事務所に入り浸って、時にはそのまま寝泊まりする事もあったので、その時間が多少長くなっただけだ。

「泊まっている時は、夜這いされる事もあった…」

「蓮杖さん不潔!」

雛罌粟のカミングアウトに、環が批難する。

「雛罌粟てめぇ!余計な事言ってんじゃねぇ!」

「でも事実…朝まで寝かせてくれない事もある…探偵さんお盛ん…」

「人を交尾覚えたての中学生みたいに言うな!」

環や美奈に、耕介のふしだらな面をあれこれ話すのは、雛罌粟なりの牽制か。

耕介を環や美奈に取られないように、『自分のもの』アピールしているのかもしれない。

こうやって耕介の株が下がれば、手出ししないだろうという発想だ。

お陰で耕介の評価は、環と美奈の間では暴落中だ。