駐車してある車の陰から現れた、異形。

その姿に、環も社員も愕然とするしかない。

象だった。

或いはマンモスか。

巨大な象牙を持つ、茶褐色の象面。

肥大し切り、肥満体にさえ見える隆々とした上半身の筋肉を、同じ茶褐色の毛皮のベストで覆っている。

そして足元は、これまた茶褐色の毛皮を巻いたブーツ。

一見すると滑稽とも思える姿だ。

或いは人間と獣の中間、獣人を思わせるような。

「な、何でしょう…仮装ですかね…」

「コスプレイベントか何かの帰り…?」

刺激しないように、声を潜めて言い合う環と社員。