それどころか修二の居る場所の判断すらつかない。

働いているのは耳だけ。


「もうどう足掻いたって、……詰んでますよ。…………幼児誘拐殺人犯の哲夫さん」


その修二の言葉にバクンッと哲夫の心臓が跳ね上がった。



こいつ、気付いてたのか!



そんな怒りが込み上げてくるが、もう遅い。


口から流れ出る唾液は量を増し、もうろくに空気も吸えない。


頭を叩き割る様な痛みと、霞んでいく視界。


そんな中、修二の「そういえば、貴方に会うのは13年ぶりですね」という言葉を最後に哲夫の意識がプツン…と途絶えた。