仕事が出来て、女子社員にも大人気のあの津田部長が、女装……。チラッと横目で見てみる。

(やっぱり綺麗……)

津田部長は、イケメンと言うよりもハンサムと言った顔立ちをしている。

目元はキリッと鼻筋もスッと通っていて、黒髪のロングストレートヘアーがとてもよく似合っていた。いつもはメガネをかけているけど、今はコンタクトだろうか?背も高く余計な贅肉なんて付いていないから、スラッと伸びた手足は女の私が嫉妬してしまう位綺麗だった。

「美園さん」

「は、はい!!」

津田部長が急に私の方を向いたので、ジロジロ見ていた事がバレたと思い、声が上ずる。

でも、津田部長が言いたい事は、どうやら違った。

「この事は……」

津田部長が目を伏せ、ギュッと手を握りしめている。

……あぁ、そうか。私の口からこの秘密が漏れてしまうのではないかと、恐れているのだろう。

「誰にも言いません」

私の言葉に、伏せていた目を開ける。

「絶対に、誰にも言いません」

私は真っ直ぐに、津田部長の目を見ながら言った。ウソは言っていない。誰にだって一個や二個くらい、知られたくないヒミツは抱えている。私だっていい大人だ。言って良い事と悪い事の区別ぐらい付く。

「……そう。ありがとう」

その言葉を聞いて津田部長は、安堵の笑みを浮かべる。笑った顔も、やはり綺麗だった。