「真世ちゃんについていてあげなくても良かったの?」
午後から検査があるなら、誰かついていてあげた方がいいんじゃないかな?
「あ、うん。大丈夫。午後からばあちゃんが行くことになってるし」
「そうなんだ」
「うん」
病院の外に出た。
もう8月も終わりだというのに、病院を出た途端に暑くて汗が吹き出してくる。
「帰るの?駅まで一緒に行く?」
「あー……。俺、これから用事があって駅まで行くんだけど大丈夫だよ。道も覚えたし」
成宮はそう言って苦笑いをした。
「そうなんだ」
何だろう……この何とも言えない気持ちは……。
イライラするし、モヤモヤする。
成宮が私の誘いを断ったから?
駅まで行くなら一緒に行けばいいのに。
「じゃあ、また!課題は出来たら連絡してね」
「わかった」
成宮は時計を見ながらそう言って、駅の方向に歩き出した。
私は成宮の背中をジッと見つめる。
まさかな……成宮に限ってそれはないか……。
私は自分の家の方向に向かって歩き始めた。