「……なんてな、」


「え、」


「お前、人の詮索なんかしてないで、体調問題ないなら作業再開するぞ」



だけど、そんな風に思ったのも束の間。


突然空気を変え、フッ……と柔らかに微笑んだ日下部くんは、もういつもの日下部くんで。


まるで、今の一瞬見せた日下部くんの言葉と表情は幻だったと言わんばかりに。


いつも通り。寧ろ、不自然なくらい、テキパキと作業を再開し始めた日下部くんに抱いた違和感は、大きくなるばかり。


ううん、本当は……

“ なんてな ”……なんて。日下部くんが、そんな冗談めかしたことを口にした時点で、違和感しか感じなかった。