「優樹菜、なんの騒ぎだ?」


人だかりの後ろから、声がした。


「堕威、遅いぞっ!」

「うっせえ!」


優樹菜?!堕威?!


ええっ?!ええーっ?!


堕威のお母さん?!


「何やってんだ?チチか」


ヤバイ!見つかったっ!!


『な、何って、何だろ?』


「知るか!!ジムにトレーニング行って

来るわ!」


『い、い、行ってらっしゃい?!』


「…あん?雷威も乗ってんのか?だから

この騒ぎか」


「兄貴、後ろ」


「おう、じゃあなチチか」


堕威が後部座席へ乗り込むと、お母さん

は車を発車させた。


周りから、歓声が上がる。


「きゃああー!!」

「超イケメン!!」

「マジヤバイ!!」


乙川 雷威の王子様ぶりより、堕威の兄弟

だったってことの方が驚いた。デッカイ

堕威と、小柄で細身の雷威くんは、ぜん

ぜん似てないし。雷威くんは、お母さん

にソックリだから、堕威はきっと、お父

さんに似てるんだろうな。


それにしても、綺麗なお母さん!!まず

若すぎる!!20代にしか見えないよ。

堕威がくれるキャンディの価値が、一気

に上がったような気がした。


『プレミアムキャンディだな!』


「えっ?プレミアム?!」


そういう紗夜は、とろけそうな顔をして

いた。雷威くんのことが、よほど好きな

んだな。イケメン好きだからな、紗夜。