サバイバルナイフが電池を使うわけがない。電池を使うと言われたら、誰だってそこからサバイバルナイフを連想させるなんて事は不可能になる。


桜が答えを間違えたのは守のせい。


そんな視線が突き刺さる。


「わざとじゃねぇよ!別に俺はこの女に恨みなんて……」


ない……とは断言出来ない。


桜が守を脅したコマツだったならば、殺してやりたいほど憎んでいる。


「うら……み?」


ゆるりと守へと視線を向けた桜が、険しい顔付きでそう言葉を漏らした。


「お、俺は……」

「確か、憎む相手がこの中に居る…ですよね。守さんの憎む相手が桜さんですか?」

「それは……」


問い詰めてくる修二に向かって口を開くが、それ以上言葉が続かない。


桜からの突き刺す様なあの視線。それがコマツの様で違うと断定する事など出来ない。


違う。と思ってもいない事を言ってしまってもいいのだが、それに何故桜ではないのか?等と訊かれたら答える事も出来ない。


守には無言になる以外に道が見付からなかったのだ。


「否定しない…か」


無言は肯定と解釈した様な哲夫のその言葉が部屋に響く。