「でも…顔色良くないですよ…?」

心配そうに覗かれる。
こき使われてるこいつの方が、きっとえらい目を見てると思うのに…。

(…なんでこいつは、こんなに優しい顔ができるんだ……?)

元からなのか、改めて今知ったのか、それともそこに、何か別の感情があるからなのか…。

寝ぼけてる頭では考えがつかない。
そんな事を考えてるほど、余裕すらもない。

「…どけっ……!」

小さく罵声を浴びせる。
ヤツが強張った表情を見せる。

俺はそんな顔を見て、一瞬は気が引ける。
…でも、長続きはしない。

「……今夜、次の修羅場が来る。帰ったらすぐにメシにしろっ!…」

不機嫌にそう言って逃げる。
恨めしそうな顔を見るのは嫌だ。
俺はこいつのそんな顔なんか、見たくはねぇ…。


(…とんだワガママ野郎だよな…俺は……)


思い知りながら館長を続ける。
描きたくねぇ…と思いながら続ける、漫画のような毎日だ。


…頼む…誰か…

自分らしい時間を…俺に与えてくれ…

自分らしい漫画が描けて、
自分らしく笑えて、
自分らしく生きられる……

そんな時間を…


俺に……


ください……。