細身の均一に筋肉のついた背の高い…少年。
眉目端麗、鼻は高い。
誰が見ても、美しい少年であった。
その少年が舞台に出てきた瞬間に、榊は目を奪われた。
あいつが欲しい。
気付いた時には思わざるを得なかった。
それほどに魅入ってしまったのだ。
あの男に抱かれたい。
そして、愛でたい。
この下衆共から守りたい。
榊はこの数分の間だけでも確実に彼に惹かれていた。
「さぁ!みなさんお気づきでしょう!本日は女だけではないのです!あまりの美しさ故に男でもここの舞台に立つことを許された!この少年!まだまだ若いでしょう!性ペットにするもあり!労働者として働かすのもあり!どうするかはあなた次第!5000万から始めます!」
ホールがざわついた。
今までの女と桁違いだ。
しかし、声は止まらない。
「8000万!」 「1億だ!」「1億5000万!」
榊は声を上げる男共を嘲笑うかのように静かに手を挙げ、発言した。
「20億。キャッシュで」
ホールが静まり返る。
「…に、20億出ました!それ以上いませんか!」
いるわけがない。
このオークション始まって以来の最高値だ。
鐘の音が響く。
榊は不敵に笑い、自ら少年を迎えに行った。
「お前の名前は?」
「…ない。」
怯えているのか。
…かわいいやつめ。
仕方ないこんなところに連れてこられて…。
でも、ここにいなければ出会えなかったかもしれない。
「じゃあ、名前をやろう。龍樹(たつき)はどうだ?」
名前の由来なんてない。
ただ、こいつの顔を見てたら思いついただけで。
「たつき…。あ、ありがとうございます。」
たつきはフッと笑った。
「ーーーーっっっ/////」
なんなんだ。
どうしてこいつはここまで俺の心をかき乱す。
榊は使いに服を用意させ、自車へと乗せ、ホールを後にした。