放課後



 学校から帰る途中の黒斗と鈴は、大型ビルに表示されているモニターを眺めていた。

 モニターで流れている映像は、警視庁の平田警部の不祥事、田島の誤認逮捕、真犯人江角の死亡、無実だと判明した田島がもうじき釈放される等々の速報だった。


「田島さん、無実が証明されたんか。よかった」

 鈴の言葉に、黒斗は黙って頷く。

「でも……江角は死神に殺されてもうた……。……死神のお陰で事実が公(おおやけ)になったようなもんやけど……やっぱり、ウチは死神なんか認められへんわ」

 ギュッと拳を握りしめながら、鈴は更に続ける。


「無差別に人を殺して、襲って……死神なんか居なくなればええんや……!」

 その言葉に、黒斗は無表情のまま淡々と答える。


「……はじめから居るべきじゃないんだよ。人間の世界に、死神なんか。だが……理由があるのかもしれない。死神がこの世界に居続ける理由が……」

「…………」



 何も答えない鈴と共に、黒斗は再び帰路につくのだった。