声の聞こえてきた方へ顔を向けようと身体を動かすと、右手首に重みを感じると同時にジャラッという鉄と床がぶつかる音が響く。


音のした所へと目を落とした瞬間、

「何これ!?」

由里子が顔を歪めてそう叫んだ。


それもその筈、由里子の右手首と右足首にはガッチリと鉄輪がはめられており、そこから鉄の鎖が伸びている。


更にいえば、その鎖は真っ白な壁へと繋がっていて、由里子は鎖の長さしか動く事が出来ない現状だったのだ。


「なっ、何なの、これ!?どういう事!?」


由里子が顔を青くさせ、声を掛けてきた男へと訊くも、その男が困った顔をする。


「って訊かれても、私もさっぱり分からないんだ。それに私達も君と同じだからね」


そう言って右手を由里子の目の前に持ってくる。


男の右手首にも由里子と同様の鎖が繋がっている。視線を落とせば、男の右足首にも同じものがあるのに気付いた。


「何これ……」


そう言いながら呆然としている由里子を前にして、男が人差し指でポリポリと自分の頭を掻くと共に溜め息を吐く。