「……のこと、好き?」


ふいに声をかけられて、あわてて答えた。


「あっ、あたしも好きだよ! いちごミルク!」


「いや、いちごミルクのこと聞いてんじゃねぇんだけど……」


「へ? じゃ、何のこと?」


「いや、もういいよ。2回も言えない」


ポカンとするあたしに、カジ君はまたキスをくれた。



遠くに聞こえるのは蝉の声。


体温は上昇したまま。


まだしばらく夏は続きそう。



この……

溶けちゃいそうに甘い夢のような日々がずっと続きますように。



「ね、カジ君、あたしのこと好き? いちごミルクよりも」


ふいにそんな質問をした。


「お前、ずるいよ。自分だけ……」


カジ君はふってため息ついて、ブツブツ呟いていた。

そして一呼吸おいてから、あたしの大好きな優しい目で笑ってくれた。



「悔しいけど……好きっぽい!」


「え?」


引き寄せられてギュッと抱きしめられた。



「ウソ、大好き!」


そう言って、いちごミルク味のあたしの唇をまたペロリと舐めた。



[完]