「そのタオルケットを取った人物っていうのが、ナギにキスしたってことですね?」



みんながその言葉を噛み締めて沈黙していた。


「ってことは結局誰かわかんねぇじゃん」


大野先輩の声が沈黙を破った。


「だな。フリだしに戻った感じ」


カジ君もポツンと呟く。



「んー……じゃさ」


腕を組んで考え込んでいたケイちゃんがこんな提案をしてきた。


「もう一度、カジ君の家に行くっていうのはどうでしょ?」


「へ?」


みんなが一斉にケイちゃんに目を向ける。


「ほらっ。現場検証っていうんですか? その場に行けば、何かわかるかもしれないじゃないですか!」


「なるほど。それいいかも」


ミサコ先輩もニコニコ笑ってる……。


「おお。それいいねー!!」


大野先輩も乗り気だし、カジ君もちょっと楽しそうだ。


あたしひとり、その様子を冷静に見ていた。

な……なんか、この人ら。

絶対面白がってるよね。


まさに探偵気取り?


あたしにとってはキスされたことが一大事だっていうのに。

そんなことどうでもいいって感じ。

とにかく、退屈なこの夏休みに……

あたしの不思議な体験は、みんなの興味をそそってしまったようだった。