しかし、覚悟した痛みは来なかった。


「お前、アホやなぁ。」


頭上からあの緩い関西弁が聞こえた。見上げると山崎さんの顔が。そして山崎さんの太い腕が私の腰にあった。


要するに私は、山崎さんに抱きしめられる形で受け止められていたのだ。



「...山崎さん、ありがとうございました!」



ようやく状況を理解すると恥ずかしくなってしまった。


「怪我はしてへんか?」

「はい。」


そう答えるとすぐ、山崎は離してくれたが、私の心臓はドキドキして、爆発しそうだった。


気がついたら花織達の周りには、隊士達がたくさんいた。
お互いに恥ずかしくなり、山崎は、花織の手首を握って島原に向かって走り出した。