「動けるか?」
「……今、ちょっと無理」
「ったく。弱っちぃやつ」
力強い腕に抱かれて、お湯から引き上げられたカラダに舞い降りる白。
火照った肌の上で、小さな華が溶けては消える。
まるで、その命を終えるみたいに。
「湯ざめすんなよ」
「うん」
雪と同じ色の真っ白いバスタオルを私の体に巻いてくれる流川。
そのさりげない優しさに、何だかキュンとして、顔がほころぶ。
「……え?」
「ん?」
「流川、今なにか言った?」
「いや? 言ってねーけど」
「?」
風の音かな? 誰かの声が聞こえた気がしたんだけど……
部屋に戻る寸前の、一瞬の激しい吹雪がそう感じさせたのかもしれない。