職員室まであとわずかというところで、前方から誰かがこちらに向かって駆け寄ってきた。


【廊下は走らない】というポスターの横を必死の形相で駆けてきたのは、薄くなった髪を必死でサイドに流してハゲ隠しをする校長先生だった。


「新村さん、何をしてる!!早く来なさい!!」


今までこれといった関わりのなかった校長はあたしの手首をつかんで歩き出す。


「あの……校長先生……いったい何が……?」


「いいから早く来なさい。それから、校長室に入る前に身だしなみを整えなさい」


何故かそんな命令をされて従うと、校長は一度息を整えた後校長室の扉を開いた。