「なぁ、花音。
俺ら、いつになったら元に戻れるのかな」


快晴の街中を花音と二人で歩く。


今朝は一段と冷え込んで、スカートの俺は膝がじんじんして仕方がない。


冬でもこんなモノを履かなきゃならない女子って大変だよな。


「さぁねぇ。わかんない。
世界中の図書館を探しても、そんな方法が書かれた本なんてないだろうし。
ネットで探しても、多分ないよねぇ?」


「……。まぁ、ないだろうな」


「あーあ。私、海司のまま大人になっていくのかなあ…。
今はまだ2年生だからいいけど、受験とかどうしたらいいの?
海司はどこの大学行くつもりだったの?」


「俺?俺は技術職希望だから、やっぱ理系の大学狙ってたよ」


「り、理系?」


「う…ん」


「ごめん。私無理だわ」


「んなこたーわかってるよ。いいよ。もうあきらめてるし」


「え、そうなの…?」


「花音の姿のまま行ってもいいけど、お前の成績を急激に上げることになるしな。

周りの反応を考えたら、それはちょっと面倒くさいし。

もし大学に行ってから元に戻っちまったら、お前が苦労するだろ?

だから、もういいよ。どうでも…」


「海司…」


いいんだ、もう。


この姿のままじゃ、思い通りになんか出来ない。


あーあ。


俺、バチが当たったのかな。


勉強ができねーヤツとか、運動神経悪いヤツのこと、顔には出さねーけど心のどこかでバカにしていたから…。


努力しないヤツが悪いんだって…。