「けど……かなわなくてもいいんだもん」

「え?」

「シローせんぱいとごはんが食べられるだけでしあわせだし、シローせんぱいの気持ちも、わかるから」



告白する勇気は、ない。だけど姿をみているだけでしあわせで、ドキドキする。目が離せなくなる。

それは、わたしがシローせんぱいに抱くものと同じ。



同じ気持ちがわかるからこそ、わたしはこの恋がかなわなくたっていいとさえ思う。

だって、しあわせだから。しあわせなシローせんぱいの隣にいられれば、それだけで。



だから、いいんだ。『不毛な恋』、そう言われても。



「……バカえな」

「えへへ。ありがとう、あっちゃん」



複雑な顔をしたあっちゃんがわたしを思って言ってくれているのもわかるから、その気持ちがうれしくて笑みがこぼれる。

そんなわたしとあっちゃんに、授業のはじまりを告げるチャイムが鳴りひびいた。