「御園生さん部活は?」
 困っている俺をよそに、隼人先輩が会話の主導権を握った。
「部活は、写真部です」
「カメラ、好きなの?」
「はい……」
 ようやく自分が混ざれそうな会話になる。
「御園生だったら茶道部とか華道部かと思ってた」
「あ……えと、茶道部には入っていたのだけど、カフェインが体質に合わなくて一学期で辞めてしまったの」
「そうなんだ……」
 そこでまた会話が途切れる。もう情けないのを自覚しつつ隼人先輩を見る。
 先輩っ、次の会話っ。話続かないっ。
 先輩は仕方ないなって顔で次なる話題を提供してくれた。本当になんてことのない話で場をつなぐ。たとえば学園祭の準備はいつからやっていたのかとか、あまり彼女が答えるのに困らないような内容を。
 俺は先輩と話す御園生を見て、御園生の声を聞くだけで胸がいっぱいだった。