「んなもん、出ねーよ」



私の唇を親指でなぞると、そのままくいっと引き寄せて。


――ちゅっと軽く触れるだけのキスを1回。



「////」



もー……ズルイ。


そんなことされたら、赤くなっちゃうじゃん。


くすくす笑っちゃってさ。ホント、イジワルなんだから。



「もしも現れたら、オレが連れていかれないように阻止しろよ?」



そんなことを言って、私の体をきゅっと包み込む流川。



――トクン、トクン、トクン、トクン……



流川の生きている音がする。


あったかくて、広い胸。


ドキドキするけど、安心する場所。



……大好きだもん。



幽霊にも、もちろん他の人にも、渡すつもりなんてないんだからねっ。



「死守するもん。私が絶対……、流川のことっ」



気合いを入れて顔を上げた私に



「頼もしいな」



ふっと笑った流川は、長い指で私の髪を優しくすいた。