ちびちびとピーチウーロン杯を飲んで三杯目。 ただのウーロン茶に変えられているのは、侑哉の 過保護な優しさからだろうか。

となりの元上司に至っては、車なのだから珈琲ば かり。 目の前の明美ちゃんはカルアミルクを半分しか飲 んでおらず、後はずっと有沢さんと談笑してい る。 有沢さんはビールを飲んでほのかに頬を染め始め ている。

「へー、高校の友達なんだ。見えないね」 「あは。侑哉くんは、中学時代には既に180セ ンチ越えてたみたいです。高校でも目立っててで すね~」

笑顔で聞いている有沢さんが、大人に見えるほ ど、明美先生は侑哉の話しかしない。

「あんま他の男の話をすると、有沢がヤキモチ焼 くぞ」

「ちょっ 部長!」

煙草を消しながらそう部長が言うと、明美先生は 目をパチパチさせた後、有沢さんを見上げる。有 沢さんは余裕の笑顔でビールを飲みつつ、ウイン クした。

「ちょっと嫌だけど、明美ちゃんが一生懸命喋る のが可愛いからいいよ」

うひゃぁぁ。 気障ったらしい。 胸やけしそうになりながら、ウーロン茶を飲み干 す。

というか、明美先生と侑哉が同級生だったなんて 思いもしなかった。 私は別府内だったけど、侑哉は大分市内まで電車 で通ってたから全然活動範囲が違うから知らな かったんだよね。