フーッと煙草の煙を吐く音が聞こえるのは、橘部長が重度のヘビースモーカーだから。

一緒に仕事していても煙草は何箱も持ち歩いていた。

でも、なんで橘部長が私なんかに……。

『取り合えず、今からそっち向うから』

「えっ?」

『えっじゃねーぞ。何を尻尾巻いてんだ。お前は俺の部下だろーが。勝手に負けてんじゃねーぞ』

「あ、いや、待って下さい。橘部長」

『話は着いてから聞いてやる』


そう言うと、電話は乱暴に切れてしまった。


一方的な、会話らしい会話も無く電話は切れた。