「....い....たい....」




「伊勢ちゃん?」




「私!芹沢さんに会いたい!」




言い放った瞬間に目から大量の涙が溢れてきた。草履を履くのも、傘をさすのも忘れて甘味処を飛び出した。




「せ、りざわさ」




走りなれない体に鞭を打って足を動かす。




「死なないで....」




「芹沢さん....!!」




水溜りに突っ込んで着物の裾は泥まみれになりさらに雨が染みて重い。
ぬかるんだ地面に足を取られて転倒もした。




しかし汚れた身なりなど気にもせず私は走り続けた。




今、歩みを止めたらきっと後悔する。




盾にでもなると言ったのだ。




私は、




芹沢さんを失いたくない。




伊勢でなくていい、名前でなくていい。




小娘でも、いいから




私を呼んでください....!