「よっしゃ、出すぞー」



旬ちゃんが慎重にケーキを出し、他のメンバーがジーッと見守る。


わぁ……本当にイチゴが山盛りだ。 ていうか崩れそうなくらい乗ってる。

さっき歩夢は『最高の出来』って言ったけど、見た目は かなりバランスが悪い。


……その前に、この人たちは ちゃんと手を洗ってから盛りつけたんだろうか?

マーくんが一緒なら大丈夫だとは思うけど、歩夢と旬ちゃんだもんなぁ……。

うーん、なんか心配。



「ほれ、ミサっち」



崩れかかってたイチゴの一つを取って、私の口元へと運ぶ歩夢。

屈託のないその笑顔を見ながら、私は小さく小さく息を吐いた。



「ほんとに、もう……みんな馬鹿だよね。 失恋第1号なんて、そんなの嬉しくもなんともないでしょ。 ……でも、ありがとね」



みんな馬鹿だけど、みんな優しい。

イチゴを持つ歩夢も、近くで笑ってる旬ちゃんも、微笑んでるマーくんも、楽しそうに笑う晃太くんも。


みんながみんな、本当に優しい。

5人が一緒に居て笑ってる時間が、私はただただ嬉しくて、そして大好きだった。



「いただきますっ」



みんなに笑顔を見せてから、イチゴに かぶりつく。

ちょっとすっぱいけれど、ジューシーで凄く美味しい。



「よし、俺らも食おうっ」



旬ちゃんの合図で、私たちはそれぞれにイチゴ盛りの大きなケーキを食べ始めた。