まぁね、寝坊して遅刻しそうになったのは私のせいだよ?

起こされても起こされても起きなかったんだから、十中八九 私のせいです。


でも『自業自得』って言って、さっさと一人で行っちゃうなんて酷すぎるっ。


他の人には優しいけど、私には冷たい部分があるんだよなぁ……。

ま、基本は凄く凄く優しくて いい人だけどね。



「正人はまた図書室?」

「え? あ、うん。 いつも通り本を読んでると思うよ」



マーくんは本を読むのが好きで、カバンの中にはいつも小説が入ってる。

時代小説、推理小説、ファンタジーなんかを読んでることが多いけど、恋愛ものは苦手みたい。

休み時間もほとんど本を読んでいるし、放課後は決まって図書室だ。



「で、歩夢は……ベランダで何やってんだ?」

「あぁ、アレは……中庭に居る女の子たちを観察してるんだよ」



ベランダを見つめながら苦笑気味に返した私に、旬ちゃんは『意味がわからない』と言った感じで首を傾げた。

でも、ほんと……言葉の通りなんだよねぇ……。