幼稚園に預けていた娘を迎えに行き、彼の帰りを待ってから明日の朝の支度をします。



「…ただいま」


「あ、お帰りなさい」


「杏子(あんず)は……もう寝たか」


「はい、ぐっすり寝ていますよ」



夫が帰って来るのは、大抵娘の杏子が眠った頃です。
だから杏子がパパと会うのは、彼が会社へ行く直前の朝だけになります。

いつも秋成さんがお風呂から上がるまで待とうと思うのですが、杏子の隣で横になっているうちに私もつい眠ってしまうのです。


そうして朝になると私は秋成さんに朝ごはんの用意をします。
今日はお味噌汁と卵焼き、焼き魚と言った定番メニューです。



「おいしい?」


「ああ」



結婚して早5年。

いつもパン屋さんへ通ってくれていたけど、私は彼が根っからのご飯党だってことに気づきました。

きっとコレを言うと秋成さんは困ったように黙り込んでしまうでしょうから言いませんけどね。