吉岡先生の事を頼ってないわけではないけど。

心配を掛けたくないって黙っていたけど、黙っていた事によって余計にこじれてしまった。

これからはちゃんと話そう。


「うん、ちゃんと話す」

「名前は?」


やっぱり呼んだ方がいいよね。

いい年して、いつまでも恥ずかしがっているのも、ね……


「……かずお」

「何?美咲さん」


私が名前で呼ぶと、吉岡先生はすごく嬉しそうな表情をする。


「ご、ご飯作って来る」


恥ずかしくて、私は立ち上がり、逃げるようにキッチンへ行く。


“名前くらい”

って、ちょっと思っていたけど、実際読んでみて、吉岡先生との距離が、今まで以上に近付いた気がした。