「ええ、私はもともとそういうつもりで来たもの。貴女と祈ちゃんに会うためにね。でも、貴女はいったいどこに行くの?」
玄関のドアを目いっぱい開けて端月さんに問えば、彼女はこころ良く引き受けてくれた。
「友達と会うために少し、春日公園に行ってきます」
心配しないでほしいとあえて慶介のことを『友達』という呼び方をして端月さんに伝え、大丈夫だと言うつもりでにっこり笑った。
これで、慶介とのイザコザの決着がつく。
自分を励ますため、赤ちゃんがいるお腹に手を当て、大きく息を吸ってそっと吐き出す。
そうしてあたしは、彼が待つ春日公園まで歩を進めた。