あたしは畳に置いている膝をすり寄せ、お仏壇の前に座ると、お鈴を鳴らして手を合わせた。

『潤さんと祈さんにお世話になりました。ありがとうございます』

感謝の気持ちを心の中でそっと告げ、一礼する。



「イノも!!」

祈ちゃんはそう言うと、あたしと同じようにお鈴を鳴らし、そうして小さな手を合わせた。

小さな背中をピンと伸ばし、大きな目を目いっぱいつむっている。

天国にいるお母さんとお話しているんだ。



その光景に胸を打たれたあたしは、ただ静かに見守り続けた。




そうしてとても安らかに流れている空間の中、天国にいるお母さんと話し終えた祈ちゃんは、あたしがいる方へと振り返ると、にこっと笑いかけてくれた。

彼女はお仏壇の反対側にある本棚へと進み、小さな体からはみでるくらい大きな一冊のアルバムをカニ歩きをしながら重そうに運んできた。


「よいしょ」

やっとのことであたしのところまでアルバムを運び終え、畳の上に置くと、ドサリと大きな音が部屋中に響いた。

その音を聞いただけでもアルバムはとても重いものなのだと実感する。


祈ちゃんはまたにっこり笑う。

つられてあたしも微笑んだ。

それを合図にして、彼女は鼻歌を歌いながら嬉しそうにアルバムを開けた。

鼻歌の楽曲は耳にしたことはないから、きっと彼女が作曲した音楽だろう。


祈ちゃんが口ずさむ心地いい音楽を聴きながら、あたしもリズムに乗る。