「あの時、白石に『好き』って告白された。だけど、ちゃんと断った」

「うん……」

「白石は莉乃の友達だろ?俺だってそんなバカじゃないし、莉乃の友達と浮気なんてしないよ」

「そうだね……」

必死に言い訳する翔が逆に浮気を肯定している気がして、心の中がざわつく。

いっそ言い訳なんてしないで認めてくれたらどんなに楽だろう。

そして、いさぎよく『ごめん。一時の気の迷いだ』と謝ってくれたらあたしは翔を許すことができるはず。


だけど、翔はそんな気さらさらないようだ。

あたしを家に呼び出したのも、必死で自分には全く非がないと弁解するため。

翔が浮気したかもしれないと辛く悲しい思いをしているあたしの気持ちなんて、翔はこれっぽちも考えてくれていない気がした。