「沙菜達がいなくなってから、あそこにいた女の子達、めっちゃ騒いでたんだよ、カッコいいって」

美波ちゃんがそういうと、

「あれはまた絶対、ファンが増えたよね~」

菜緒ちゃんが付け加える。

―――それは彼女がいると公言したところで、ファンが増えてるなら逆効果なんじゃないのか?

ふとそう思った。

けど、確かにあれはカッコよかったと思う。

ニセモノの彼女なのに、勘違いしてしまいそうになるほどに。

そう思ったとき、昼休みの事を思い出して、また胸がトクン、とした。

無意識に、そのとき繋いでいた右手を自分で握ってしまう。


ふと、自分がそうしてる姿が窓ガラスに映り、そんなことをしてる事に気付き、慌てて手を離した。


―――なんなのよ!男子と手を繋ぐなんて大したことないのに…。

自分らしくない行動に戸惑ってしまう。

―――彼氏とかそんな恋愛の免疫がない私には、ニセモノの彼女役なんてやっぱハードル高いわ…。

思わずため息をついた。