「まさか児玉って呼ばれるとは思わなかった。
……くくっ……斬新だけど、それじゃさっきの村口ってヤツと変わらないから、遠慮しとくよ」

とまた思い出したのか笑いながらそう言われる。

するとここで、昼休みが終わる前の予鈴がなった。

「仕方ないから帰ろうか」

そう言って私の手を引いて立ち上がらせる。

「うん」

ようやくあの甘い雰囲気から解放される喜びで、足取り軽く歩き始めた。

だが児玉くんは、

「けど、今日俺がここで言ったことは、全部本当だからね」

と、再度甘い顔で言ったのだった…。



―――ニセモノの彼女相手に甘すぎるんだよ、ばかぁ!!どこがクールなんだよ!!


日頃男子との絡みではあり得ないドキドキが自分の胸の中で起こっていて。

それを押さえるのに必死だった…。