別に私は…

須藤悠と仲良くなりたいとか、

須藤悠の弱みを握りたいとか、

須藤悠に興味があるとか、


そんな事考えていない。




別に仲良くないコイツの本心を探ったってどうしようもない。



だから、須藤悠が『何にもないよ』と惚けるなら、


私はその惚けに便乗するだけ。





「そう」


私はそれだけ答えると、

膝の上に乗せていた自分の手を見つめる。


『この話は終わり』と言うように。


それが本心を隠したいコイツの為でもあり、

この場で気まずい雰囲気になりたくない私の為。





ああ、爪が長くなってきている。

今日帰ったら切らないと…


……………ってか爪切りどこやったっけ?



そんなどうでも良い事を考えていた私の隣に、


忘れそうになっていた存在がドシッと腰を下ろす。


チラッと左隣を見れば、

須藤悠が空を見上げながら座っていた。