本当は非通知着信も拒否したかったけれど、それをすることははばかられた。

ラインをブロックしたことでストーカー行為がひどくなってしまったのは間違いない。

拒否したことでストーカー行為を助長させてしまったようだ。

この状況は耐えがたいけれど、ここでまた彼を突き放せば更に恐ろしいことが起こりそうな予感がした。

「うげぇぇえ、なにこれ。超ヤバくない?」

あたしのスマホを手にした好未が顔を歪ませる。

「マジキモい~!!爪まで送りつけてくるとか、尋常じゃないし」

「……あぁ」

好未の言葉に翔が大きく頷く。

そして、翔はそっと視線を下げみんなの手元を見つめた。

「この中にストーカーはいないな」

確かに翔の言うとおり、翔も好未も桜も……

3人の爪が切られた形跡はない。

好未に至っては派手なネイルがほどこされていた。

「ていうか、そもそもあたし達の中にストーカーがいるわけないじゃん~!!」

好未はあははっと笑う。

「好未、こんな時に笑うなんて不謹慎なことやめなさいよ。ねぇ、翔君どうする?ストーカー行為が徐々にエスカレートしてきてるわ」

桜の問いかけに翔は目のふちを赤くして怒りをあらわにした。

「もう無理だ。莉乃がこんなに苦しめられてるっていうのに我慢できない。しかも、相手が分かってるならなおさらだ」

「三浦君に直接言うの?」

「あぁ。俺が直接言ってくる」

「翔君、ちょっと落ち着いてよ。三浦君に直接注意すればそれで問題が解決すると思う?」

「どういう意味?」

桜の言葉に翔が怪訝そうに問いかける。