ケータイ小説 野いちご

金魚すくい



「ーー紙?」



それは小さなメモ紙で、全く見覚えの無いものだった。


二つ折りされたそれを開き、中を覗く。



「……っ! どうして……」



白い紙に書かれた文字を見て、私は思わず戸惑った。





090ー〇〇〇〇ー××××

柏木 優





それは優の連絡先。


一体いつ?


この上着は自分が座っていた椅子にかけていたものだ。



「……あっ」



そういえば一度優がそばを通った時、私の横で何かを拾う仕草をしていた。


ずっと視線で追っていた私はそばに優がいることには気づいていたけど……でも、まさかその時にーー?



再びメモ紙に視線を落とし、文字を指でなぞる。


男の子にしてはきれいな字だ。


それはとても優らしい字で、暫くの間、私はじっとそれを見つめ続けた。




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